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旅する映画 その16 函館へ


青森駅から

2009年6月22日。
朝食の時、川嶋さんに会う。

挨拶をして別れ、私は青森駅へ向かう。

10時の汽車で函館へ向かう。

9月下旬に函館映画鑑賞協会で「空想の森」上映会を開催してくれることになっている。

函館を通るので、せっかくだからスタッフとの顔合わせとキャンペーンをすることにしたのだ。

大沼の池田誠さんにそのアレンジをお願いしていた。

誠さんは、10年ほど前に共働学舎に家族で2年ほどいた。

その後道南の大沼に移住し、現在国際交流センターの事務局長をしている。

函館駅で誠さんが出え迎えてくれた。

2004年のフィルムでのラッシュ上映の時にお世話になって以来5年ぶりの再会だ。

その時、私は撮影が中断中の真っ只中で、お先真っ暗の苦しい時だった。

その時に誠さん、こなひき小屋の親方、おかみさんにどれほど力づけられたことか。

今、映画が完成し、函館で観てもらえる。私が彼らにお返しできることはこれしかない。

それができる。なんて嬉しいことだろう。

「昼ごはんは何が食べたい?」と誠さん。

「こなひき小屋。」と私は答えた。車中、誠さんが今日のスケジュールを私にざっと伝える。

これから北海道新聞と函館新聞の取材、そして主催の映画鑑賞協会の人たちとの顔合わせ。

夜は、誠さん宅で、スライド上映会で函館界隈の保育園などをまわっている小寺卓矢さんと共働学舎から独立した山田圭介家族といっしょに食事。小寺君と私はそのまま誠宅に宿泊。という予定とのこと。


Pan屋

近況などを話しているうちに、函館の街中のこなきひ小屋に到着。

ここは何年か前にできた支店で私はお初だ。

店には親方とおかみさんがそろっていた。

5年ぶりの再会だ。誠さんのご馳走で、好きなパンを選んで店内に腰掛けて食べた。

仕事の合間に親方たちと久しぶりの再会を喜ぶ。

おかみさんは夕方から時間が取れるとのことで、後ほどゆっくり話せることになった。

そして誠さんの職場、国際交流センターへ向かい、仕事場を見せてもらった。

海を見下ろせる坂の上にあった。

ロシア語の学校と同じ建物にあるので人の出入りの多いところだ。

誠さんは、ここで留学生の受け入れ、ホームステイ先を探したり、プログラムをつくったりと様々な事業をしている。

人と人をつなげていくこの仕事は、誠さんの天職じゃないかと私は思った。

そして近くの喫茶店に移動。

ここで取材や顔合わせをする。


函館映画鑑賞協会のみなさん

13:30。早速北海道新聞の記者の方が来て取材を受けた。

引き続き、函館映画鑑賞協会の方々が集まってきて顔合わせをした。

8名ほどの方が来てくれた。

に6回くらい会員対象の上映会をしていて、年に一回だけ大きな規模の上映会をやっているそうで、それに今年は「空想の森」が選ばれたのだということを伺い、とても嬉しかった。
「この映画をぜひ多くの人に観てもらいたい。」と、試写を観たメンバーの方が言った。

そのために、どこに宣伝していったらいいのかなど話が及んだ。

とても力を入れてこの上映会に向かっている事を感じた。

私は映画製作中のこと、公開してからの上映会のことなどをお話した。

そして、函館上映会に多くの方が観にきてくれるようがんばろうということになった。

この様子を函館新聞の記者が取材してくれた。
「空想の森」を多くの人に観てもらいたいと思っているのは私だけじゃないと思うと、嬉しくて仕方ないのと、何だかとても心が強くなれる。誠さんは仕事に戻っていった。

16:00。私は鑑賞協会の方の車に同乗し、こなひき小屋まで連れて行ってもらう。
ここでおかみさんと合流し、まず七飯のこなひき小屋本店へ向かった。このパン屋さん、なんて活気にあふれているのだろう。

初めて店に行った時、そんな印象を受けた。今回もそう感じた。
完成までのこの5年間のことや、近況など、一体何をどこから話したらいいのか・・・。

そして5年前、ラッシュ上映会をやらせてもらった自宅へ移動した。

親方はビールを飲んでくつろいでいた。

パン職人は毎日夜中2時ころ起床し仕事にかかる。

あと数時間で眠くなる時間だ。

おかみさんと私も早速ビールで乾杯した。

二人は映画の完成を心から喜んでくれた。

まだ観てもらってないのが少々恐いが、私も完成を二人に報告することができて本当に嬉しい。

9月27日の函館上映会の後、森町のハル小屋で小さな上映会もすることになっている。

この時、親方たちに観てもらえる。

私は青森映画祭の直後でもあり、久しぶりに会えた嬉しさもあり、どんどん気分が高揚してきた。

18:30過ぎ。誠さんが仕事を終え迎えに来てくれ、親方たちと別れた。

池田家に着くとちょうど小寺君も到着していた。

誠さんの家族との再会。娘のニコちゃんはすっかり少女になっていた。

息子のニタイ君は父さんより背が大きく、さわやかな青年になっていてびっくりした。

ビールで乾杯し、にぎやかな夕食が始まった。

真美さんの料理が次々と食卓に並んだ。圭介家族もやってきた。

息子の優作くんはニコニコしてやわらかい感じの子でとてもめんこかった。

圭介はすっかり父さんになっていた。春に生まれたばかりの耕作くんの顔を初めて見た。

圭介のヤギチーズもみんなで食べた。

圭介のチーズは本当にうまい。

この道南に移住を決め、家、ヤギ小屋、熟成庫を自分でつくり、水をひき、ヤギを飼い、チーズをつくるその暮らしが、ようやく軌道に乗り始めてきているようで、圭介はいい顔をしていた。

池田家での楽しく嬉しい晩餐だった。
小寺君は森の写真を中心に撮っていて、最近2冊目の子供向けの写真の本を出した。

それで、保育所や学校などをスライドショーで回っている。

明日もこの近くの保育園でスライドショーがあるとのこと。午前中にやるというので、私も見学することにした。映画完成後、初めてゆっくり小寺君と話すことができて本当によかった。

2009年6月23日。
7:30。朝食をいただく。8:30。池田家を後にする。

森町のハル小屋を下見に行く。

出勤前の誠さんに連れて行ってもらう。

こなひき小屋さんや誠さんの友達のハルさんの小屋での上映会を誠さんがアレンジしてくれた。

森の中にある素敵な木の小屋だった。

ハルさんとダンナさんもいらして、中に入らせてもらう。スクリーン、プロジェクターなど機材が設置されていた。

時々ここで上映会もやっているとのこと。

私は持ってきたDVDで試写をしてみた。

音が少し心配だが、なんとかなりそうだ。50人くらいは入りそうだ。

こじんまりとしたいい上映会ができそうだ。
そして誠さんに小寺君のスライドショーをやる保育園まで送ってもらった。

ここで誠さんと別れた。今回も誠さんに色々お世話になった。

つも世話になってばかりだ。

裸で外を走り回っている元気な子供たちがたくさんいた。

実ににぎやかだ。この子たちがじっと座ってスライドを見てられるのだろうかと思ったほどだ。

小寺君は体育館で準備をしていた。突然の私の訪問に、園長先生は優しく迎えてくれた。

私は職員室で園長先生とお話をしていた。

その間に子供がなんやかんやで園長先生のところに来ては話をしていく。

先生はとてもやさしく丁寧に子供に接していた。
もうすぐ始まろうとする頃、近くに住む女性が小寺君のスライドショーを見にやってきた。

その女性は私を見つけると「以前、こなひき小屋で空想の森のラッシュ上映を見た者です。」と言った。

私はびっくりしたのと同時に嬉しくて、やっと映画が完成したこと、9月に函館で上映会があることを伝えた。

そうこうしているうちに10時になり、スライドショーが始まった。

小寺君は子供たちに語りかけながら、四季の森の写真を展開していった。

子供たちは写真をじっと見て、元気よく質問に答えていた。

小寺君の話術はすごい。
10:30過ぎ、私は園長先生にお礼を言って保育園を後にした。

大沼駅まで15分ほど歩いた。

ああ、今回も色んな人たちと出会えたいい旅だったなあ。

この週末は、いよいよ群馬の野外上映会だ。

夏に向かおうとしている太陽がまぶしかった。

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