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撮影報告 その121 30年ぶりの大間のデモ

2012年6月17日(日)。

昨日は少し飲み過ぎた。

ここから会場まで歩いていく。

10:30。竹田さん、野村さん、石川さんと会場へ向かう。

空模様は曇り。

雨が降って来そうな感じもする。

私と石川さんはそのまま、デモのロケハン。

 

車を出しやすいところに駐車して、キャメラを持って会場へ歩いていく。

会場に近づいていくと聞き覚えのある歌声。

苫米地サトロさん

サトロさんだった。

「手紙」を歌っていた。

キャメラを回し、息を切らせながら会場へ入った。

サトロさんが歌っていた。

2010年の夏、ヒューマンドキュメンタリー映画祭で会ってから2年になろうとしていた。

宮城の旦理町に暮らしているサトロさんは被災していた。

元気に歌っている姿をみて、嬉しくなった。

 

演奏の後、ハグをして再会を喜び合った。

近況も手短に話した。

サトロさんは震災の後に書いた手記のようなものをくれた。

反対集会が始まった。

訴訟の会の竹田さんが挨拶。

事務局の大場さんが大間の裁判の報告。

そして野村さんが反対集会の宣言文を読み上げたりしたので、私はずっと撮影をした。

 

13:20。

デモのスタート地点に大勢の人が集まった。

雨が降らなくてよかった。

主催者発表で200人の人が参加した。

4列くらいに並んで、長い列ができていた。

デモの先頭

警察もやってきた。

気分が高揚してきた。

私はスタートの時間をにらみながら撮影を開始した。

少し小高くなったところに車を移動した。

そこでデモのスタートを待った。

 

時間ぴったりにデモは始まった。

デモ行進が近づいてきたところで私は車に飛び乗り、一気に消防署の前まで移動した。

そこからデモ隊がやってくるのを待ち構えて撮影した。

石川さんたち報道陣たちも走ってデモを撮影している。

 

その後はスーパーまえだの前をいっしょに歩いたり、海沿いの道、商店街を行進するデモ隊を夢中で撮影した。

家の中からデモを見る人、道の脇から眺める人なども撮影。

途中、函館組はフェリー乗り場の方へ別れていった。

とにかく走って走ってゼイゼイしながらキャメラを回した。

昨日のアルコールが汗となって抜けたようだった。

神社の角を曲がり、大間町役場前で解散。

終わったー!

私はゆっくり車を駐車したところまで歩いていった。

頭の中では今撮影したところを思い返していた。

 

宿に戻り、さっと風呂に入って汗を流し、すぐにまた撮影の支度をした。

少し横になりたい気持ちだったが、寝てしまいそうだったのでやめた。

そして山本さんの家に向かった。

朱美さんが、サメ、塩うにを食べさせてくれた。

 

 

時々サメがひっかかってくるので、船の上で食べる分だけ切って持って帰っくるそうだ。

 

 

「結構おいしいよ。ワイは好きだ。」と山本さん。

 

しっかりごはんも食べさせてもらった。

サメを初めて食べた。

 

味噌づけにしていてとてもおいしかった。

 

サメ自体はあっさりさっぱりした感じで私も結構好きだ。

ウニは絶品だった。

私は早速デモの様子を伝えた。

ひとしきり話してから、改めて今回の学習会の感想を山本さんに聞いた。

山本さんは昨日の学習会で大間の人がほとんど来ていなくて、しかも声をかけた人が一人も来ず、相当ショックを受けている様子だった。

昨晩は眠れなかったそうだ。

それでも今の思いをぽつりぽつりと話してくれた。

 

「最近毎日母ちゃんと壁にはった日本地図を眺めながら、どこに行くかなと話しているんだ」。

と山本さん。

「北海道は寒すぎるから、秋田か。あったかい沖縄か。でもどこに行っても原発はついてまわるんだ。どこにも行くところがないよな。」

と力なく言った。

 

本当にそうだなと私も思う。

何もこのことは山本さんに限ったことではない。

私たちも同じ立ち位置にいる。

ただ、今当事者でないだけで、いつだってその当事者になる可能性は十分にある。

 

ショックで弱気になってそんなことを言いながらも、山本さんはあきらめていない。

これからも大間を止めるために一人でも仲間を増やしていこうと思っている。

 

山本さん、私は大間に住んでいないけれど、大間を止めたいと思っています。

もうこれ以上、原発はいらない。

これ以上、核廃棄物を増やしたくない。

たかが電気に命をかけたくない。

そして私だけでなくそう思っている人も多いと思います。

その意志表示として、今回こんなに多くの人たちが最果ての大間にやってきたのだと思います。

これはすごいことだと思います。

 

山本さんのインタビューを終えた。

これで今回の大間での撮影が全て終了した。

宿に戻り風呂に入ろうとしたら、奥本さんが風呂から出てきたところだった。

ロビーに座って、ひとしきり話をした。

奥本さんもかなり疲れていたがさっぱりとした様子だった。

 

そして風呂にゆっくりとつかり、夕ご飯を食べた。

明日は早朝のフェリーに乗る。

帰り支度をしてバタンキュー。

 

 

2012年6月18日(月)。

5:30起床。

機材を車につみ込むのに3往復。

6:20。フェリー乗り場へ。

乗客が多くて窓口で並んだ。

函館の病院に通う人が多いようだ。

 

待合に朱美さんがお土産を持って待っていてくれた。

絶品の塩うに、べこもち、私の好物のツブ、わさびの粕漬けなど。

ホント嬉しい。

また今回もお世話になった。

 

9:00。函館港着。

こなひき小屋に寄ってから親方の家へ。

ごはん、塩うに、わさびの粕漬けなど、あけみさんにいただいたものをさっそく朝ごはんでいただく。

塩うにがおいしくてごはんが進む。

そうこうしていると、親方が帰宅。

お土産をみせると、「オレべこもち好きなんだ。」と言う。

さっそく食べていた。

親方と夕食の買い出しに出る。

帰ってきて私は近くの温泉に入りに行く。

夕食は親方がつくる。

出来上がる頃、おかみさんが帰ってきて3人で食卓を囲む。

 

イカと豆腐の炒め煮がとてもおいしかった。

おかみさんが塩うにが好きで、とても喜んでいた。

 

この日は親方の家でゆっくり寝させてもらった。

 

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