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撮影報告 その157 こんぶ土居 三代目の食育授業

こんぶ土居 三代目 土居成吉さん

2012年10月23日。

七飯町から海沿いの道を通り、川汲の磨小学校へ向かう。

小学校に到着すると、須田教頭先生が出迎えてくれ、機材を運びこんでくれた。

明るい開放的な建物にまず驚いた。

「こんにちはー!」

と、そしてすれ違う子供たちが私に元気にあいさつをしてくれた。

なんだかそれだけで嬉しくなってきた。

 

校長室に入ると、こんぶ土居三代目の成吉さんとお連れ合い、四代目の純一さん、そして「美味しんぼ」の原作者の雁屋哲ご夫妻が、白幡校長先生が歓談していた。

三代目が私をみんなに紹介してくれて、私もご挨拶をした。

 

校長室の壁には、写真や新聞記事などの土居さんと磨光小学校の交流の歴史が飾られていた。

下倉孝さん

札幌から下倉孝商店(魚屋さん)の下倉さんもやってきた。

下倉さんは前に土居さんの授業に参加したことがあるそうだ。

今回の土居さんの食育授業は、15回目のくぎりとご本人は位置づけている。

その節目に私も参加させていただいて嬉しい限りだ。

 

お昼の時間になり、私たちもそろって給食をいただいた。

私は早速キャメラを回し始めた。

「こんな給食だったら毎日でもいいですね。」

と雁屋さんが言った。

 

校長先生いわく、函館市の給食は添加物や保存料を一切使わず、ほとんど地元の食材でつくっているそうだ。

ご飯もおいしかったし、おかずも薄味でおいしかった。

 

私は一足先に土居さんの授業が行われる家庭科室に入って、撮影の準備をした。

子どもたちが掃除をしていた。

子どもたちに土居さんの授業を受けるのか聞いてみた。

毎年5年生が土居さんの授業を受けるとのこと。

私が聞いた子は4年生だった。

時間になり、三代目ご夫妻、純一さん、雁屋さんご夫妻、下倉さんが教室に入ってきた。

いつもお連れ合いと二人でこの授業をしていたのだそうだ。

雁屋哲ご夫妻。

 

しかし今回は雁屋さんご夫妻がいらしてくれるとのことで、土居さんも純一さんもいっしょに、一家で来ることにしたそうだ。

 

左から三代目・成吉さん、四目・純一さん、三代目のお連れ合い。

24名の5年生が、4つのテーブルに分かれて座った。

生徒の親御さんも何人か参加していた。

土居さんの授業が始まった。

 

 

昆布が世界に誇れる日本の食文化ということ。

その昆布の仕事の大事さ。

出汁のおいしさや大切さ。

「美味しんぼ」の土居さんの出てくる場面を教科書に、授業が進められていった。

(ちなみに「美味しんぼ」77巻にこんぶ土居さんが出ています。)

それがとても面白かった。

配役を決めて、役の子たちが前に出てきて、読み合わせをしていった。

土居さんの役はご本人が、山岡役、ブラックさん役などなど。

なんとなくその役の感じに合っている子が選ばれているのも面白かった。

時々三代目は補足の話をしたりして授業は進んだ。

雁屋さんは大感激していた。

 

三代目のお連れ合い。

そして各テーブルごとに出汁をとる。

三代目のお連れ合い、純一さんも子どもたちのサポートにまわる。

 

四代目

 

昆布だけを煮たてた時の味、鰹節を加えた時の味、塩を加えた時の味をそれぞれ味見。

味の違いを確認した。

 

そしてその出汁を使ってお好み焼きをつくった。

 

三代目

 

三代目も子どもたちのテーブルにまわり、一生懸命サポートしていた。

ひっくり返す時がなんといっても盛り上がる。

参加した生徒のほとんどが昆布漁師の子だった。

だから昆布で出汁をとっている家庭の子が多かった。

 

今、一般的に昆布で出汁をとる人がとても少なくなっているそうだ。

そのことを土居さんは憂いている。

 

私は普段から昆布と鰹節、もしくは煮干しで出汁をとって味噌汁をつくるので、ちっとも手間とは思わない。

このおいしさはやはり何ものにも代えられない思う。

 

 

出来上がったお好み焼きは出汁がきいた上品な味でとてもおいしかった。

ソースやマヨネーズをつけなくても十分おいしかった。

楽しくておいしい授業だった。

この子たちが大きくなった時に、この授業のことが心のどこかに残っていくのだろうな。

漁師になる子もいるのだろうな。

 

つづく

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