旅する映画 その14 あおもり映画祭へ
2009年6月20日。
帯広は肌寒い。モモヒキもはいてくればよかったかなあと後悔するほど。しかし、向かうのはここより南の青森だし、まっ、いっか。
JRの車中は、ほとんど寝ていた。16:00前、青森駅に到着。こんなに小さな駅だったかなあ。改札を出ると、県庁職員の畠山秀樹さんが出迎えてくれた。
今年のあおもり映画祭の前半は、若手の監督がつくる短編映画と、なぜか尺の長いドキュメンタリー「空想の森」が上映されることになった。事前のやりとりの中で、実行委員長の川嶋さんは、「空想の森」に縄文に通じるものを感じた、と私に言った。川嶋さんは縄文を研究したり発信したりとライフワークにしている人だった。この映画祭の会場は三内丸山遺跡のすぐ横にある青森県立美術館のシアターだ。そして川嶋さんはこんなことを私に言った。「上映後、気が向いたら三内丸山遺跡を好きなようにビデオで撮影して欲しい。」と。青森県は三内丸山遺跡を世界遺産に。というアピールを県を挙げて取り組んでいる。そんな中、若い映像作家たちが縄文の遺跡をどう感じるのか、映像で撮り、それが少しでも世界遺産へのアピールになれば、という考えらしい。
7年ほど前、私は友人に誘われ、定期的に集まっては縄文時代の暮らしを調べる会に参加していた。そんな頃、その仲間たちと三内丸山遺跡を訪れ、縄文時代の豊かさにますます魅了されて帰ってきた。遺跡の資料館で見た服や装飾品、食べ物を参考に衣装をつくり、縄文巻き巻きという食べ物をつくって、地元の豊年満作祭で縄文カフェを出店したりもした。そんな訳で、今回のあおもり映画祭はとても楽しみだった。
県庁の畠山さんによると、今日はこれから短編映画の監督・俳優も東京からやってくるとのこと。監督たちは、その足で早速三内丸山遺跡を撮影に行くとのことだから一緒に行かないかと。私も同行することにした。
宿にチェックインし、小一時間ほど休む。
17:00。再び畠山さんが迎えにきてくれて、千村利光監督、小林でび監督、女優の伊藤久美子さんとそのマネージャーの男性と駅で合流した。千村さんとでびさんは、あおもり映画祭に何度か作品が上映され、すっかり青森のファンになったそうだ。機材も自前で持ってくる熱の入れようで、明日の朝も撮影し、明日の上映の後、編集したものをお客さんに見せようと計画していた。挨拶もそこそこに、車2台に分乗し三内丸山遺跡に向かった。
遺跡入り口には巨大な建物が建っていた。エントランスと資料館だ。そこを通り抜け、早速遺跡に向かった。でびさんが、おもむろに用意してきた衣装のスーツに着替えだした。千村さんが小道具などを取り出している。ストーリーがあって、それに沿って撮影をするらしい。
私、伊藤さん、彼女のマネージャーは撮影を眺めたり、プラプラと遺跡を見て回ったりした。前に来た時も感じたのだが、なんか気分のいい場所だ。巨大な6本柱は実に画になる。下から見上げると迫力がある。住居跡の中にも入ってみる。大きな空間だ。私たちはプラプラしながら少し話しをした。伊藤久美子さんは、千村さんやでびさんの作品に出演している女優さんということがわかった。みんなから「いとくみ」と呼ばれていた。
少し離れたところで、今度は縄文時代の服を着たでびさんが裸足で走っていた。千村さんはそれを前や横、後ろから撮影をしている。楽しそうだ。
18:30をまわってもまだ明るかった。19:30をまわりさすがに暗くなってきて撮影終了。東京組みはこれから明日の撮影の打ち合わせなどあるとのことで、ホテルへ戻る。
畠山さんは酒が好きなようで、酒と肴のうまい店に連れて行ってくれた。おしゃれで小奇麗な店でカウンターに座った。大将の仕事ぶりがカッコいい。青森の方言も心地よい。まずはビールで乾杯。そして私は田酒へ。うまい。酒はもちろんだが、魚が本当に新鮮でおいしかった。
青森の地酒と肴をつまみながら、畠山さんと会話もくだけてくる。実はこの4月に秋田県庁から青森県企画政策部企画調整課政策調整グループの主査として出向してきたばかりだそうだ。
東北の県庁間ではこのような人材交流がされているそうだ。畠山さんの仕事は、縄文をもっとアピールして、三内丸山遺跡を世界遺産にしようということらしい。畠山さんは走る人で、今朝も浅虫温泉まで走って汗を流してから仕事についたそうだ。だから酒もうまかろう。私も明日の上映を前にテンションが上がった。二人でしこたま飲み、もう一軒はしごした。酒がうまい、食べ物がうまい。でもこの晩は少々飲みすぎた。宿に帰ってバタンキュー。






