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旅する映画 その41 いざ函館へ

2009年9月26日。
8:00。私は函館に向かって車を走らせた。3日前に空想の森映画祭の片付けが終わったばかり。疲れと高揚感がまだ体に残っていた。
5年前、まだ完成がほど遠かった頃に函館でラッシュ上映会をやってくれた方々に完成した映画をようやく観てもらえること、今回が北海道で初めての自主上映ということなどで私はドキドキ、ワクワクしていた。いったい、どのくらいの人が観に来てくれるのか、どんなふうに観てくれるのか。
「収穫の 大地を縫いて いざ函館」

途中、二風谷の高野さんの店に寄った。高野さんはアイヌ紋様の彫師。お盆や小刀の柄など生活用品に素晴らしいアイヌの模様を彫る。残念ながらこの日、アイヌ刺繍をする奥さんは留守だった。久しぶりだったので映画が完成したことなど、近況を報告。

R0010677高野さん

店の壁にトンコリらしきものがつるされていた。ただ今製作中とのこと。高野さんはトンコリについて話し始めた。この楽器は、元々は子を亡くした母親のための楽器だった。天国の我が子と交信するための楽器で、母親は子を亡くした悲しみをトンコリを弾くことで癒していたという。だからトンコリは人間の形をしている。頭、首、胴、ヘソ(穴の部分)、腰(アザラシの毛がある部分)、足。中にはトンボ玉が入っていて、トンコリを揺らすとカランコロンと音が鳴る。このトンボ玉は魂だそうだ。
もう一つ、アイヌコタンにはシャーマン的な女性が一人いて、その人がトンコリを使って神と交信し、神の言葉をコタンの人たちに伝えていたという。
弦は鹿の腱を使う。これをつくることができるのは日本で高野さんの奥さんしかいないということだ。
トンコリについての興味深い話を聞き、私は高野さんと別れ、函館へと車を走らせた。

17:00。高速道路を使い、途中休憩をしながら、よくやく函館に到着。やはり遠かった。実行委員会が用意してくれた宿にチェックインした。今晩、今回の上映会を主催してくださる函館映画鑑賞協会の方々と夕食をすることになっていた。
間もなく、佐々木さんが迎えにきてくれて、居酒屋に歩いていく。当日司会をする田村さん、事務局の境田さん、ユニバーサル上映の日本語字幕をつくった橋本さん、野村さん、木澤さんなどが集まった。みんなで明日の上映会に想いを馳せながらの愉しい晩餐だった。店を出て、もう一軒行こうということになった。橋本さんの馴染みの店にみんなで行った。看板のないバーだった。なかなかいいお店だった。ウイスキーでもキュッといきたいところだったが、居酒屋で生ビールを2杯飲んだし、明日本番なので私はコーヒーにした。

函館実行委員会の方々が温かく迎えてくれたこと、そして、函館映画鑑賞協会の29周年の記念上映会に「空想の森」を選んでいただき、一人でも多くの人に見せたいと思い、みんながこの上映会に向けて、大変力を入れて取り組んでいただいたことに私は胸がいっぱいになった。

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