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旅する映画 その7 高崎映画祭1日目


2009年4月5日。
朝。
子供たちがはしゃいでいる元気な声が聞こえる。
宮下さんも、もう起きているようだ。
二日酔い気味の私は、しばらくまどろむ。
今日はいよいよ、高崎映画祭での上映だ。

この日の午前中、12月の自主上映会の会場だった中医研で、
月に一度の朝市があるとのこと。
「空想の森」は18:10からの上映だ。それまで時間がある。
かおりさんもこの朝市に出店することもあるそうだ。
ぜひ朝市を見せたいということで、みんなで行くことになった。


鈴木真吾さん (「野菜と暮らそう」の店主)

中医研はやっぱり不思議な空間だった。
12月の上映会から、ずいぶん時間が過ぎたような気もするし、
あっという間だったような気もする。

この朝市は、昨日の飲み会でいっしょだった人たちが中心になってやっている。
「野菜と暮らそう」(野菜屋)を覗くと、鈴木さんがいた。


農Cafeの岩田さん
その横に、梅農家の女性が、梅の酵素ジュースとおいなりさんを売っていた。
私はそれを両方頼んで、その場で食した。
宮下さんはおいなりさんを食べた。
「あったかいジュースがとってもおいしいです。」などと話していたら、
鈴木さんがやってきて、「高崎映祭で今日と明日上映するんですよ。」
と映画の宣伝をしてくれた。


左が甲田くん
中医研の中に入ると、吉田さんがニコニコといた。
甲田くんも店を出していた。


12月の上映会で受付をやってくれた若者も出店していた

皮製品、フェルト、パン、マフィン、お弁当、野菜、みんなそれぞれ
思い思いのものを出していた。
私は店をひとつひとつ見ながら、お店の人とのおしゃべりを楽しんでいた。

12月の上映会で映画を見た人たちから声をかけられたりして、
また話がはずんでいった。
「とってもいい映画でした。もっと多くの人に見せたい映画です。」
など、とても嬉しい言葉をいただいたので、私は宮下さんを探した。
直接宮下さんに聞いてもらいたかったからだ。
宮下さんは映画を見てくれた人から直に感想を聞いていた。
私はニマニマしながらそれを眺めていた。


鈴木酒店のご夫婦

鈴木酒店もご夫婦で出店していた。
奥さんは前回の上映会で映画を見いてくださっていた。
話をしているうちに、今、名古屋で空想の森上映会を計画中の
北村酒店の北村彰彦さん、北海道の幕別町の福田商店の大将とも
お知り合いということがわかった。
世の中広いようで狭いものだ。
酒屋つながりも、けっこう面白いものがあるようだ。
私の映画は、なぜか農家や酒屋をやっている人たちと縁がある。
食べ物とお酒。
これぞ私の一番好きなものではないか。


シネマテークたかさきの入り口にて。宮下さん。

12:00。朝市を堪能した私と宮下さんは、
茂樹さんにシネマテークたかさきまで送ってもらった。
そして、空想の森の上映まで、3本のドキュメンタリー映画を見た。
(「いのちの作法」・「色彩の記憶」・「マグナム・フォト」)
音も画もとてもいい感じだったので安心した。
自分の映画の上映時間が近づくにつれ、緊張してきた。
人が来てくれるだろうか。

上映前に志尾さんと軽く進行の打ち合わせ。
いよいよ、空想の森の上映だ。
私と宮下さんは会場の入り口に立ち、お客さんを出迎えた。
竹渕さん、甲田くん、竹田くん、福島夫妻、鈴木夫妻、
12月に見に来てくれたチヅコさんの顔も。
チヅコさんはこの時、高崎映画祭で上映されるといいねと私に言ってくれた人。
彼女は高崎映画祭が始まって以来、毎年かかさず見に行く映画が本当に好きな人だ。

幼稚園の時の友人も来てくれた。
50席ほどの会場が、ほぼ埋まった感じだ。

18:10。舞台挨拶。志尾さんが作品と私を紹介。
「この映画は私はとても好きな映画で、多くの人に見てもらいたいと思った。」
というようなことを話してくれたと思う。
私は横で聞いていて、とても嬉しく照れくさかった。
そして私は、竹渕さんたちに見守られ、横には宮下さんもいるし、
高揚してはいるが、なんか安心した気持ちと感謝の気持ちで、舞台挨拶をした。

出演者の宮下さん、自主上映をしてくれた人たち、
それを12月に見に来てくれた人たちは、もうすでに映画を何回かは見ている。
にもかかわらず、また見に来てくれた。
この人たちとまたいっしょに劇場で「空想の森」を見られるなんて、
なんて幸せなんだろうと思った。

宮下さんもお客さんにご挨拶。
最後にいつものように、
「どんどん田代陽子に厳しい意見を言ってやってください。」
と言った。
宮下さんはものすごく嬉しそうだった。

上映中、お客さんの反応はとてもよかった。
特に宮下夫婦の会話に笑いが起こっていた。
この劇場の音、画がとてもいいので、
ここでみんなに見てもらえたことは本当によかった。

上映後、宮下さんと二人で出口に立った。
何人かの人たちが、私に直接感想などを言ってくれた。
チヅコさんは「1回目と違うところが見えたよ。やっぱりよかった。」
と私に言った。


左から、鈴木さん、私、福島さん夫妻、甲田君、竹渕さん、宮下さん

竹渕さん、鈴木さん、甲田君、竹田君、福島夫妻たちが
劇場の外で私たちを待っていてくれた。
志尾さんも出てきてくれて、しばらく立ち話をした。
「この映画祭を始めた茂木は、新得の映画祭みたいな、ああゆうものをやりたかったんですよ。
茂木に見せたかった。」というようなことを志尾さんは話していた。
宮下さんはこの晩、倉渕の竹渕さんの家に泊まり、そのまま明日新得に帰るので、
短い時間だったけど、志尾さんと話ができてよかった。

私たちは、総勢8人。
近くのお店に遅い夕ご飯をみんなで食べに行った。
「何回見ても、空想の森はいい映画だよね。」と私。
「俺なんか、試写を含めたら今日で5回目だ。」と竹渕さん。
映画の話、農業の話、食べ物の話などなど、楽しい夕食だった。

23:30。竹渕さんに宮下さんをお願いして別れた。
明日宮下さんは、帰る時間まで、竹渕さんの農園を見たりしていっしょに時間を過ごすのだろう。
私は、竹渕さんに会った時から、宮下さんに会わせたいとなぜか思っていた。
それがかなって何だかとても嬉しい。

東京から友人のチヒロちゃんが来てくれた。
明日の上映を見てくれるのだ。
彼女も自主制作で映画をつくっている。
駅前のホテルのロビーで待ち合わせ、合流。
それからチヒロちゃんと居酒屋へ行き、ひとしきり話す。

2:00。私はホテルのベットにバタンキュー。
いい一日だった。明日も楽しみだ。

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