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旅する映画 その39 九月の風に吹かれて

風に吹かれながらつらつら思う。
モノゴトは記録しなければ、なかったことのように人の記憶から忘れ去られていく。
記録したいもの、または記憶したいもの、あるいは未来に向けて残しておきたいものを、人は様々な形で残そうとしている。

一つのモノを完成させること。
それは自分を分析し、自分と他者との違いを認識・理解していく過程と同じ要素がある。
と最近私は気がついた。

完成したモノはその時点でのその人の集大成。
人間は生ものだから、モノが完成してからも、精神と肉体は刻々と変化していく。
そしてまた、自分と向き合い続ける。
きっと生きている間は、常にそんな作業をやり続けるのだろう。

記憶。
それは本人の心の中にしか映っていないもの。
同じモノを見たとしても、その見方・感じ方は人それぞれ。
十人十色。
 
自分にまつわる記憶をいかに認識し消化するのか。
生きていくための大事な作業だと、最近つくづく思う。

一人として同じ人がいないのに、
映画を観て共感してくれる人が少なからずいることは、
私にとって大きな喜びであり、原動力になっている。

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