2012年5月4日(金)。
昨日から風が強く、大間行のフェリーが予定通り出航するか気をもんでいた。
事実、昨日の午後の便は欠航だった。
この天候と風で欠航になると思うからもう一日函館にいたらいいのに、と野村さんはしきりに言う。
船着き場に電話して確認すると予定通り出航するとのこと。
私は野村家を後にしてフェリー乗り場へ向かった。
9:30。船は無事函館港を出港。
昨日の午後の便が欠航になったため、奥本さんもこの船に乗っていた。
今回、奥本さんの話も撮影させてもらうことになっている。
昨日のことなどひとしきり話してから、私は婦人室で爆睡。
11:30。大間港に着く。
山本さんの家に直行した。
ゴールデンウィークは漁も休みとのことで山本さんも家にいた。
妻の朱美さん、長女のシノブさん、山本家のみなさんと再会。
初めてお会いしたのがは去年の11月末。
一坪君と漁の撮影をした時だ。
あれから半年になる。
今日一日は撮影をしないで、山本家のみんなと色んな話をしよう、そして明日から帰る日までの4日間、しっかり撮影しようと私は考えていた。
早速居間でお茶をいただきながら話をした。
その内お昼になり、朱美さんがオムレツをつくってくれた。
明美さんはホント、料理が上手だ。
山本家滞在中、朝昼晩と毎日おいしい食事をいただいた。
山本家はいつも整理整頓されている。
モノはあるべき場所にしまわれているので、居間はすっきりしてスペースが広い。
これは朱美さんのきれい好きによるところが大きい。
玄関を入って左の二間続きの部屋を使わせてもらった。
機材を置く部屋と寝る部屋に分けられてすこぶるいい。
そうこうしているうちに、山本さんの次女・ユキさん一家がやってきて一気ににぎやかになった。
ユキさんはハルトクン、トウキクン、ユノチャン、三人のお母さんだ。
上の二人の男の子は小学生、下の女の子は保育所に行っている。
ダンナさんのカズキさんは、船の乗りこをしているが、明日から2週間の出稼ぎに出るそうだ。
乗りことは、自分の船を持っていないので人の船に乗って漁をする漁師のこと。
ユキさんは大間町に一つだけある病院で看護師をしている。
子どもたちは、それぞれ学校や保育所が終わるとほぼ毎日山本家にやってくる。
そしてユキさんも仕事が終わるとやってきて、夕ご飯をみんなでいっしょに食べ、お風呂に入ってから近所の自宅へ帰るという。
シノブさんが子どもたちの面倒をよくみているので、私は産みの母、シノは育ての母なんだとユキさんは言った。
長男のハルトくん。
長男のハルトくんはおばあちゃん子で、今もアッケ(朱美さん)から生まれてきたと思ってるそうだ。
ハルトくんは哲学的なことをいう面白い子だった。
老犬ポッキーは、半年前に会った時より弱っている感じだった。
目はほとんど見えておらず、足取りもおぼつかない感じだった。
「今年いっぱいもつかなあ。」と山本はつぶやいた。
それでも時々外に出たり、家の中を歩きまわったりして、なんともかわいいのだ。
ポッキーはみんなのアイドルだ。
夕方になると、朱美さん、シノブさん、ユキさんも手伝ってにぎやかに夕食作りがはじまる。
ユノちゃんは山本さんの膝の上で遊んでいる。
ユノちゃんが一番やんちゃだ。
上の二人の男の子は静かにゲームで遊んでいる。
テーブルには手作りのにぎり寿司が並んだ。
みんなでにぎやかに食卓を囲んだ。
私のためにビールを用意していてくれていた。
遠慮なくいただいた。
山本さんは飲めないのでノンアルコールビールで乾杯した。
なんだか酔っ払った気分になるなあと山本さん。
「カズキは明日からいなくなるし、せっかくだから今撮ったらいいでしょ。」
と山本さんが言った。
私は嬉しくなって、すぐに撮影の支度をして撮り始めた。
実はとても撮りたかったのだ。
初めての撮影なのにキャメラを意識した感じがないのに私はびっくりしていた。
キャメラをのぞいている私に普通に話しかけてきたりした。
とても嬉しいことだった。
ユキさんとは原発の話もした。
大間で子育てをしながら看護士として働くユキさんに話を聞きたいと思い、インタビューをお願いしてみた。
快諾してくれた。
こうして山本家での初日がアッという間に過ぎていった。
初日からキャメラをまわせる嬉しい誤算もあって私はワクワクしていた。
山本さんちの居間は居心地よいですね。
ご家族の皆さんもお元気そうです。
食卓テーブルにはいつも美味しいものが並んでいますね。
いつかご馳走になったかぼちゃ団子も美味しかったです。
ポッキーが元気がなさそうでちょっと心配です。
また皆さんにお会いしたいです。
のむら