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ブリュッセルにて その1

少し時間が経ってしまいましたが、ブリュッセル・シネマノバでの「風のたより」の上映の時のことを記します。

自分の作品が初めての海外で上映されることになりました。

しかもベルギーで。

なんだかそれも嬉しかったです。

ヤマガタ国際ドキュメンタリー映画祭で見てくれたnicolas(ニコラ)から連絡があった時は、本当に嬉しかったです。

ブリュッセルはフランス語圏。でも多くの人は英語も普通に使っています。

やり取りは当然英語。

四苦八苦しながら、翻訳ソフトも使いながらのメールでのやり取りでした。

それでも、ヤマガタで会って話をしているので安心してやり取りができました。

学生の時に、私は英語なんてできなくったって生きていけると強く思っていました。

でもやはり、概ね英語が共通の言語である以上、できた方が何百倍もよかったなあと、今実感しています。

だっていろんな話をしたいですもん。突っ込んだ話があまりできないのがものすごく残念なのです。

2018年4月18日。

空港に到着すると、ニコラとミクちゃんが迎えに来てくれました。

ニコラがチョコとノバのプログラムをプレゼントしてくれました。

ミクちゃんは、私がお世話になるお宅の下の階に住んでいる人で、時々、シネマノバの手伝いもしているそうです。

「昨日まで寒かったのに、今日からいきなり暑くなったんですよ。」

とミクちゃんとニコラが言いました。

この日から私がブリュッセルを去る日まで、記録的な夏日が続きました。

この時期には珍しいことだそうです。

「ヨウコが太陽を運んできたみたいだね。」とニコラ。

「ヨウコのヨウは太陽の陽なの。だからだね。」と私。

今回の6日間のブリュッセル滞在は、ホテルではなく、ニコラの友人のお家にお世話になりました。ニコラが全てをアレンジしてくれました。

ベルギーの人ってどんな気質なのか、どんな風に暮らしているのか、見てみたかった私にはニコラのその配慮がありがたく嬉しかったです。

ブリュッセルの中心地から歩いて30分ほどのアパートのペントハウス(最上階)に、アリスと子供二人とマリエーブと子供一人の二世帯の家族が暮らしています。

マリエーブが子供の父親の家にしばらく行くので、空いたマリエーブの部屋に私が泊まらせてもらうことになりました。

ペントハウスは2階建てで、上の階に私が貸してもらう部屋と子供たちの部屋、そしてバス、トイレがありました。

とても明るくて、窓からは街が見渡せる眺めのいい部屋でした。

ヨーロッパって感じの眺めです。

下の階に二つの部屋と大きなリビングとキッチン、ベランダがありました。

とても快適な家でした。

アパートの目の前にはバーがありました。

暑いのもあって、みんなビールを飲んでいます。

それだけで心踊りました。

この日から私は毎日ここでビールを飲みました。

このバーは素敵な老夫婦が経営していて、ビールの値段も安く、そしておつまみをサービスで持って来てくれるんです。

ここで飲むのが一番でした。

わりと古いアパートなのでエレベーターがありませんでした。

5階まで登って行かなくてはいけません。

ニコラが重たいスーツケースを運んでくれたのはありがたかったです。

ベランダで子供たちが裸ん坊で水遊びをしていました。

アリスの子供の他、近所の子供も一緒に遊んでいました。

マリエーブが部屋を案内してくれました。

「自由に使ってね。」と、そのまんま私に貸してくれました。

そして1階の鍵と部屋の鍵、下の階のみくちゃんの部屋の鍵も渡されました。

滞在中、貸してもらった部屋と、ミクちゃんの家を使わせてもらうことになりました。

ミクちゃんとクリスタフには、アントワーンと楓くんの二人の男の子がいます。

高校生と中学生です。二人ともとっても魅力的な子でした。

次男の楓くんは結構日本語が話せます。

日本の漫画が大好きで読んでいるからだそうです。

ある日、私が家に入るために通りに面したドアの鍵を開けていると、

「yoko!」と呼ばれました。

振り返るとクリスタフがビールを飲んでいました。

そして私も一緒にビールを飲み始めます。

近所に住むクリスタフの友だちが通りかかると、一緒に一杯飲んだりします。

彼も映像の仕事をしていた人で、今は映像理論を教えることができるように大学に通っています。

よく喋る愉快な人ですが、とても繊細な面もあります。

私がテーブルにキャメラを置いたりしてると、

「ヨーコ、ここはいいけど町の中心地に行ったら気をつけるんだよ。」

とか、「ほらほら、カバンのチャックがあいているよ。」

と注意してくれます。

でも幸い私は一度も危険な目にあいませんでした。

私はクリスタフに

「ほらまた、社会の窓が開いてるよ」

と注意していました。

彼と撮影や映像の話をしてとても刺激になりました。

英語なのでなかなか難しかったのですが、私がその単語わからないと言うと、

一所懸命私が理解できる単語を使って話してくれました。

クリスタフもフランス語が母国語で英語は第二外国語なのですが。

着いた日の夜は、近所の食堂 LA BOULE D’ORでニコラ、ミクちゃん家族、ミクちゃんの友人のサチコさんらと夕食を囲みました。

ベルギービールを飲みながら、本当にブリュッセルにやって来たんだなあと実感しました。

ベルギーの人ってあたたかいなあって思いました。

そしてこれからの6日間が楽しみでなりませんでした。

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