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風のたより その8 シアワセな昼ごはん

書き物仕事をしていると、お昼の時間を過ぎてしまうことが多々ある。

お昼は麺類を食べることが多い。

 

 

共働学舎の蕎麦があと一束残っていた。

大きめの鍋に湯を沸かす。

宮下さんから頂いた貴重な大根を洗って、皮つきのままおろし金でおろす。

ボールに水を張る。

鳴門糸わかめをハサミで食べやすい大きさに切りもどす。

大阪のこんぶの土居さんが送ってくれたものだ。

 

小ぶりの土鍋に、濃縮出汁を入れ、水で薄めて火を入れる。

これもこんぶの土居さんが送ってくれたおいしくてお手軽な出汁だ。

化学的なものは一切入っていない。

 

蕎麦に入れる分のわかめをとる。

残ったわかめに、石垣の塩、玉姫酢、ごま油をかけてあえる。

茹で上がった蕎麦をざるに入れ、水で洗い、汁が熱くなった土鍋に入れ温める。

 

 

そして大根おろし、わかめを入れ、一味を少々ふりかけて食す。

出汁のおいしさと大根おろしの甘味、そしてわかめのしゃきしゃき感がたまらない。

一つひとつの食材には人の顔が浮かぶ。

シアワセを味わいながら、お昼を味わう。

風のたより その7 感謝

 

 

撮影の帰りの道中、車を運転しながら、

今回の旅を思い返す。

 

出会った人たち、お世話になった人たちに感謝の想いが湧いてくる。

そして次へ向かう力がムクムクと湧いてくる。

まだ見ぬ映画に想いを馳せながら。

 

今回が今までで一番濃い旅だったー!

と、帰って来る度にいつも思う。

 

私が生きてきた一瞬一瞬、その時その時の延長線上に今があることを改めて感じる。

今の満ち足りた気持ちを味わいながら、これからを丁寧に一歩一歩進んで行こうと思う。

風のたより その6 函館・野村さんからの便り

函館・野村さんからの便りがきました。

 

田代さん、本の紹介、ありがとうございます。 昨年の3.11後の世界をどう生きるのか、 誰にとっても重たい課題だったと思います。 20数年大間原発に反対してきたわたくしにとって、 地震と原発はセットになった恐怖でした。

3月11日、午後2時46分ただならぬ地震の揺れの長さと大きさに原発は大丈夫かとすぐに思いました。 その後に出てくる情報の「嘘」に、身体の震えるような怒りと恐怖がおそいました。 政府と東電の嘘に、これはまた隠している、と確信しました。

隠しているのは放射能漏れで、それならすぐにでも子どもたちにヨード剤を配らなければいけないのに それをつたえるニュースも質問する記者もいません。 原子力資料情報室をはじめとするネット情報だけが頼りでした。

2010年12月に出版された京都大学原子炉実験所の小出裕章さんの「隠された原子力」の編集をさせていただきました。 原子力の世界にいながら、40年以上反原発の立場で研究をつづけてこられた方です。

反原発の市民グループを支えてきてくださいました。 完成した本を手に、これから続く長い未来を原発とそこから出るゴミと向かい合わなければならない子どもたちに 正しい原子力を伝える本が必要とつよく思いました。

原発を作った私たちはじきに死んでしまいます。 でも原発の後始末は子どもたちに残されるのです。 原発を作った世代は、原子力の正しい知識と情報を子どもにつたえる義務がある、そう思いました。 小出さんにそう話したところ、わたしに書くようにとの言葉でした。 資料を集め準備していたときに、福島の事故が起きました。

その後の時間をよくは覚えていません。 でも今できることがあるはず、との思いだけで時が動いていました。 ネット情報の中から、信頼できるものをブログに載せたり人に伝えたりしていました。

福島県の放射能の規制値を年間20ミリシーベルトまで上げ、子どもにも適用するとの文科省の通達はあきれて言葉もないものでした。 これからを生きる子どものための正しい情報をなんとしてもつたえたい、と強く思いました。 子どもに向けた本を書くことは、放射能で汚してしまった世界を残していく大人のできることはなんなのか、 自分へ問い続ける時間でもありました。

今、この本は私の手元を離れ、子どもに向けてメッセージを伝えてくれようとしています。 小出裕章さんは、原発を作っていけない理由は自分の理想とする社会と大きく隔たっているからと、 とインタビューで答えてくださいました。 自分より生きづらさを抱えたいきものにたいしてのまなざしで人が見えると、 より小さないのちへのやさしさをもてるかどうかの人の価値は決まると思う。 それに照らすと、すべての面で原発をゆるせない、そう答えてくれました。

原発の差別性、放射能の危険、地域の格差、エネルギー問題と 原発を取り巻くものはさまざまです。 いのちいじょうにたいせつなものはない、その観点でこの本を書かせていただきました。

そして子どもは自分で考える力を持ち、大人はそれをサポートしなければならないことも・・。

田代監督がこのコラムでも書いていたように 「今、今を生きること。それ以上に大切なことはない」 大好きな言葉です。 今を生きるために、未来を生きる子どもために、ぜひこの本をお手にとっていただけるとうれしいです。

野村保子

アマゾンURL http://www.amazon.co.jp/%E5%8E%9F%E7%99%BA%E3%81%AB%E5%8F%8D%E5%AF%BE%E3%81%97%E3%81%AA%E3%81%8C%E3%82%89%E7%A0%94%E7%A9%B6%E3%82%92%E3%81%A4%E3%81%A5%E3%81%91%E3%82%8B%E5%B0%8F%E5%87%BA%E8%A3%95%E7%AB%A0%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%AE%E3%81%8A%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%97-%E9%87%8E%E6%9D%91%E4%BF%9D%E5%AD%90/dp/486101218X/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1332165082&sr=8-1

風のたより その5 たった一つのキー

 

いつも持ち歩いているパソコンが、ローマ字入力で文字を打ち込めなくなった。

いろんなキーボードを押してみたが、ことごとくダメ。

新得のいんであんに電話で聞きたかったが、もう時間が遅すぎた。

明日から半月に渡る撮影と上映の旅が始まるのでどうしても直したかった。

ネットでそのことを調べようと、文字を打ち込むのに一苦労したが、

それでも、どうやってローマ字入力にしたらいいか、わからなかった。

夜中の3時近くまでやっていたが、あきらめて寝た。

翌朝。

いんであんに電話して聞いてみると、

即座に、NumLKのキーを押してみたらと言った。

押してみると、今まで通り文字が打ち込めた。

何時間も寝ないでがんばったのは一体何だったんだろう。

ものすごく困ったことを直すのは、たった一つのキーを押すだけのことだった。

たった一つのスイッチを押すだけで、快適に激変する。

今私たちが置かれている状況も、案外そんなものなのかもしれない。

そんなことを思いながら、洞爺湖のラムヤートへと車を走らせた。

 

 

 

風のたより その4 2012年 冬のある日

 

雪降る中、久しぶりに深夜まで友人たちとおしゃべり。

20代・30代を共に遊んだ仲間。

よく食べ、よく飲んだ。

月見の会、誕生会、川泳ぎ、厳冬期キャンプ、縄文研究会、タイコ、祭りの出店、そして映画祭などなど。

綿密に計画し、時には周りも巻き込み、本気で遊んだ日々。

前のめりな感じもわるくない。

大事なことを話せて共鳴する友人たち。

さあ、また明日がやってくる。