アーカイブ

旅する映画 その19 農カフェ梅林野外上映会

2009年6月27日。 8:30起床。 身支度をし、ふすまを開け放つ。 いい天気だ。 パン、コーヒー、手作り梅ジャム、野菜サラダをみんなで食べながら今日の天気を喜んだ。 そうこうしていると、小渕もと江さんがやってきた。 小渕もと江さん 彼女は紀子さんの親戚で渋川(旧子持村)でしいたけ農家をしている。 この度、紀子さんが梅祭りと映画の上映会をするということで、何が何だかわからないが手伝いを買って出てくれたのだ。 農家の奥さんたちの団体、アグリレディースの仲間も巻き込んでスタッフのまかないをつくってくれることになった。 もと江さんは早速、昼のスパゲティの準備にかかった。 とても明るい楽しい人だ。 まもなく仲間の吉田松代さん、斉藤絹代さんもやってきて、一気に賑やかな厨房になった。 女性パワーはすごい。 アグリレディースでも色んなイベントをやっているので、大人数料理も手馴れたものだった。 みんな農家なので食材は豊富だ。 しかしこの明るさ、群馬の農業の未来は明るいと思った。 アグリレディース 横浜から紀子さんの友人、オーハシさんがやってきた。 共働学舎のチーズの出店を出すとのこと。 オーハシは時々この家に遊びにくるそうで、紀子さんの気のおけない友達のようだ。 オーハシさん 今日は夕方から梅林に出店が並び、暗くなったら上映会をはじめる。 その準備にみんな出たり入ったりしていた。 体のあいた人から昼食をとっていった。 すごくおいしかった。 私は少し体を休めようと思い、畳に寝転がり昼寝をした。 みんなが準備で動き 回っている気配を感じながら、ここから何かが始まっていく予感がした。 お昼寝タイム 一眠りして起きると、竹渕夫妻、甲田君、鈴木君、吉田さんなど、高崎上映会のメンバーが来ていた。 みんな今回の梅林上映会のスタッフとして協力してくれているのだった。 駐車場係り、機材搬入搬出などをやるのだ。 日々の仕事に忙しい中、本当にありがたい。天気は上々。 今夜、野外上映、一体どれだけの人が来てくれるだろうか。 16:00過ぎ。 PAと映写をやってくれる小田さんが到着。 少し早いがいっしょに夕食を食べた。 具だくさんの玄米炊き込みご飯がとてもおいしかった。 そして会場に行き、セッティングをして音のチェック。 今までで一番といっていいほど、素晴らしく音が良かった。 会話や風の音もクリアーに聞こえた。 画面の暗さをカバーしてくれるはずだ。 17:00を過ぎると、出店の人やお客さんらが徐々に会場に集まってきた。 会場の 道路脇で竹渕さんがニコニコしながら誘導棒を振っていた。 ここが受付です 駐車場入り口の受付には鈴木君とアグリレディースの方たちがお客さんを待っていた。 駐車場では、とも江さんのダンナさんが誘導係をしていた。 これまた明るい人だった。 とも江さんのダンナさん 18:00。シネマテーク高崎の支配人の志尾睦子さんが忙しい合間を縫って来てくれた。 志尾さんは「竹渕さんが満面の笑みで誘導棒を振っていたよ。今日は30分くらいしかいられなくて映画観られなくてすいません。」 と私に言った。 […]

旅する映画 その18 群馬県榛東村へ

2009年6月26日。 朝、帯広を発ち、高崎駅から更に電車に乗り、夕方6時前、八木原駅に到着。岩田紀子さんと娘のゆかりちゃんが出迎えてくれた。

彼女は4月の高崎映画祭で「空想の森」を観て自主上映を決めてから、この短い期間で野外上映会を含む2日に渡っての自主上映会、そして同時に梅祭りの準備をすごい馬力でやってきた。 岩田家に到着。

私の部屋は土間のすぐ脇の部屋だ。94歳のばあちゃんにご挨拶。

軽く打ち合わせの後、紀子さんと妹の寿子さんとゆかりちゃんと軽トラに乗った。

「農カフェ」と書かれた看板を3箇所に立てた。

この辺りは斜面になっていて上の方を見ると山々が美しい。

試写をしてみた

家に戻ると紀子さんの夫、忠夫さんが仕事から帰ってきた。

そしてプロジェクターとDVカムデッキを車に積み、みんなで梅林に向かう。

私は家の前の田んぼの脇を通って歩いた。

梅の枝にはたくさんの実が実っていた。

心配していた蚊などの虫は、全く気にならなかった。

中に歩いていくと、畳3畳ほどの大きなスクリーンがしっかりと立てられていた。

建築資材の白いボードを3枚つないだそうだ。

スクリーンの向こうには前橋の夜景がチラチラしている。

忠夫さんが梅林の脇の道に止めてあるワゴン車の中の発電機を稼動させた。

静かな音のものを借りてきたそうで、ちっともうるさくない。

持って来た本番用のテープで画を映し出してみた。

おおー、いい感じだー。

ボードのつなぎ目も気にならない。

画面が少し暗いが、それは仕方ない。 駐車場は、すぐ近くの工場の駐車場を借りたとのこと。

トイレは客席の後方に穴を掘り、ブルーシートで覆った野外トイレが二つ作られてあった。

ばっちりではないか。

きっと、この準備のひとつひとつにドラマがあったのだろうと思った。

紀子さんはとても嬉しそうだった。

俄然明日の上映が楽しみになってきた。

後は雨が降らないことを祈るだけだ。

21:00。興奮気味で家に戻り、寿子さんがつくった夕食をみんなで囲んだ。

ソーメン、こふきいも、野菜サラダ、とうふ、自家製梅しょうゆ。

ビールと日本酒(船尾)を少しいただいきながら、みんなで明日に思いを馳せた。 0:30。ふすまを閉めて個室にし、就寝。蛙が鳴く声が聞こえる。

なんか懐かしい気持ちになる。

ほのかな梅の香りに包まれながら眠りに落ちていった。

[…]

旅する映画 その16 函館へ

青森駅から

2009年6月22日。 朝食の時、川嶋さんに会う。

挨拶をして別れ、私は青森駅へ向かう。

10時の汽車で函館へ向かう。

9月下旬に函館映画鑑賞協会で「空想の森」上映会を開催してくれることになっている。

函館を通るので、せっかくだからスタッフとの顔合わせとキャンペーンをすることにしたのだ。

大沼の池田誠さんにそのアレンジをお願いしていた。

誠さんは、10年ほど前に共働学舎に家族で2年ほどいた。

その後道南の大沼に移住し、現在国際交流センターの事務局長をしている。

函館駅で誠さんが出え迎えてくれた。

2004年のフィルムでのラッシュ上映の時にお世話になって以来5年ぶりの再会だ。

その時、私は撮影が中断中の真っ只中で、お先真っ暗の苦しい時だった。

その時に誠さん、こなひき小屋の親方、おかみさんにどれほど力づけられたことか。

今、映画が完成し、函館で観てもらえる。私が彼らにお返しできることはこれしかない。

それができる。なんて嬉しいことだろう。

「昼ごはんは何が食べたい?」と誠さん。

「こなひき小屋。」と私は答えた。車中、誠さんが今日のスケジュールを私にざっと伝える。

これから北海道新聞と函館新聞の取材、そして主催の映画鑑賞協会の人たちとの顔合わせ。

夜は、誠さん宅で、スライド上映会で函館界隈の保育園などをまわっている小寺卓矢さんと共働学舎から独立した山田圭介家族といっしょに食事。小寺君と私はそのまま誠宅に宿泊。という予定とのこと。

Pan屋

近況などを話しているうちに、函館の街中のこなきひ小屋に到着。

ここは何年か前にできた支店で私はお初だ。

店には親方とおかみさんがそろっていた。

5年ぶりの再会だ。誠さんのご馳走で、好きなパンを選んで店内に腰掛けて食べた。

仕事の合間に親方たちと久しぶりの再会を喜ぶ。

おかみさんは夕方から時間が取れるとのことで、後ほどゆっくり話せることになった。

そして誠さんの職場、国際交流センターへ向かい、仕事場を見せてもらった。

海を見下ろせる坂の上にあった。

ロシア語の学校と同じ建物にあるので人の出入りの多いところだ。

誠さんは、ここで留学生の受け入れ、ホームステイ先を探したり、プログラムをつくったりと様々な事業をしている。

人と人をつなげていくこの仕事は、誠さんの天職じゃないかと私は思った。

そして近くの喫茶店に移動。

ここで取材や顔合わせをする。

函館映画鑑賞協会のみなさん

13:30。早速北海道新聞の記者の方が来て取材を受けた。

引き続き、函館映画鑑賞協会の方々が集まってきて顔合わせをした。

8名ほどの方が来てくれた。

に6回くらい会員対象の上映会をしていて、年に一回だけ大きな規模の上映会をやっているそうで、それに今年は「空想の森」が選ばれたのだということを伺い、とても嬉しかった。 「この映画をぜひ多くの人に観てもらいたい。」と、試写を観たメンバーの方が言った。

そのために、どこに宣伝していったらいいのかなど話が及んだ。

とても力を入れてこの上映会に向かっている事を感じた。

私は映画製作中のこと、公開してからの上映会のことなどをお話した。

そして、函館上映会に多くの方が観にきてくれるようがんばろうということになった。

この様子を函館新聞の記者が取材してくれた。 「空想の森」を多くの人に観てもらいたいと思っているのは私だけじゃないと思うと、嬉しくて仕方ないのと、何だかとても心が強くなれる。誠さんは仕事に戻っていった。

[…]

群馬県榛東村・梅林で初の野外上映決定!

この辺りで上映します! 2009年6月27日(土) 梅祭り前夜祭の中で梅林で野外上映 17:30~日没より上映開始 *雨の場合(農Cafe内) 早めに開場して梅林でバーベキュー(各自)や屋台(出店オファー中)が楽しめたらと 思ってます。マレーシア料理の店も出店します。サテが絶品です、、。 自家製梅酒又は梅酒ロック一杯付き。アルコール類は各自持ち込み。

2009年6月28日(日) 梅まつり終了後、昼を挟んで 農Cafeにて上映 15:00~ 梅酒、梅ジュース試飲あり!(FREE)

*両日共原則 ゴミ持ち帰り!マイはし、マイカップ、マイ皿運動にご協力頂く。 *両日とも、田代監督との懇談会を予定。

上映場所:群馬県北群馬郡榛東村長岡344 問い合わせ連絡先 :農Cafe空想の森実行委員会 0279-55-0788 岩田まで http://minkasaisei.blog.shinobi.jp/Entry/15/ http://blogs.yahoo.co.jp/norino7096ken 梅林にて。岩田紀子さんと娘のゆかりちゃん

岩田さんは、無農薬で梅をつくっています。 4月5日の午前中、高崎の朝市で出会いました。 私は彼女の出店していたお店で梅ジュースを飲みました。 とてもおいしかったのでした。

翌4月6日、岩田さんは高崎映画祭で「空想の森」を見に来てくれました。 そして、上映後、「私の梅林で自主上映会をやりたいんですけど、どうしたらいいですか。」 と私に声をかけてくれました。

映画祭を終えた私は、4月9日、 昨年12月に高崎上映会を主催してくれた竹渕さんと共に、 榛東村の岩田さんに会いに行きました。

リフォームしたご自宅。農Cafeの2階 梅林と昔の家をリフォームした素敵なご自宅を見させてもらいながら 色々な話をしてきました。

ただ今、上映会に向けて実行委員を募っています。

初の野外上映を試みます! 興味のある方、ぜひ、いっしょに楽しみましょう!

[…]

旅する映画 その13 安房へ

瀧口輝三朗(みきお)さん 2009年4月12日。 千葉県の房総半島、館山を目指す。 ただ今「空想の森」の自主上映会を計画している、 安房地人協会(瀧口さんたちが何か一緒にやるときの名前)の瀧口輝三朗さんに会いにゆく。

10:00。川崎駅からバスで木更津駅へ。 1時間ほどバスに揺られる。 そこから電車で館山駅へ。 初めて見る外房の海は春の穏やかな陽を浴びキラキラしている。 車窓は、だんだんのんびりした風景になってきた。 12:56。館山駅につくと、瀧口さん、仲間の真魚長明さん、友絵さんが出迎えてくれた。

左から真魚長明さん、友絵さん これから車2台に分乗して、上映候補のホールなどを案内してもらう。 まず、旧三芳村の道の駅のレストランで昼食をご馳走になる。 お互い初めて会うので、ここで自己紹介などする。

「空想の森」の上映をやりたいと私に連絡をしてきた瀧口さんは、 外房の太海(ふとみ)という町の出身。 5年ほど前に実家に帰ってきて、現在は化粧品の販売をしながら、 2年前から真魚さんと田んぼをいっしょに借り、 米をつくったり、味噌やしょうゆをつくったりする暮らしを始めた。 この日も午前中、地元の人たちとしょうゆの仕込みをしてきたそうだ。

真魚さんは東京出身で、世界を放浪していた。 サーフィンをしにこの町にやって来てそのまま住み着き、 現在、合気道の先生をする傍ら文筆業などもしている。 この地域に風を吹かせている人のようだ。

この旧三芳村は、昭和48年から有機農業に取り組んでいる町として知られて いるそうで、昔から農業が盛んなところなのだ。 しかしこの町もご多聞にもれず、耕作放棄地が増えている現状だそうだ。 それでもやはり、有機農業に取り組む農家は多いとのこと。 この道の駅のレストランも、地元の野菜をふんだんにつかったメニューが並んでいた。

この辺りは、コンクリートの原料となる土が出る山が多く、ずっと山が削られ続けてきた。 そのために、グランドキャニオンの様な荒涼とした姿が続く場所に変貌してしまったところが多いのだそうだ。 削られた土はダンプカーに満載され、東京方面にどんどん運ばれていく。 それに伴い様々な問題が発生していた。 今、鬼泪山(きなだやま)という国有林に指定された山が削られようとしている。 真魚さん、瀧口さんはその反対運動もしている。

そして、自分の暮らす地域をもっと面白くしようと、瀧口さんらが中心になって、 安房地人協会という名前で、映画の上映会、講演会などなど、色々な活動をしている。 その一環で、「空想の森」の上映会をやろうということになったのだ。 そして、私は今回、関東に来たついでに、上映会の前に一度瀧口さんに会ってみたいと思い、 安房を訪れることになったのだ。

昼食後、3箇所のホールを案内してもらった。 120人ほどのキャパの町の施設、房総半島で一番大きなホールとそこの会議室、 ローズマリーのテーマパークの中の100人ほどの劇場。 設備、金銭面などを総合的に考えると、 最後に行った会場が一番いいのではないかと、4人で話した。

外観 客席

この広い房総半島の南半分に映画館がなくなったそうだ。 海を渡り、東京や横浜に映画を見に行く人が多いという。 そんなところだけに、地味なドキュメンタリー映画を自主上することはかなり大変なことだと思う。 それを、きちんと宣伝して集客してやろうとしてくれている瀧口さんたちに、ありがたい気持ちでいっぱいになった。

[…]